運動不足を解消したい、理想の体を手に入れたいなどの理由からトレーニングを始める方も多いでしょう。トレーニング初心者の方によく聞かれるのは「筋トレは週何回くらいすればいいのか」「どの時間帯にするのが効果的なのか」といった疑問です。そこで今回は、トレーニングの頻度や回数、効果的なタイミングについて解説します。これからトレーニングを始めようと考えている方はぜひ参考にしてください。
トレーニング頻度は週何回がベスト?
筋肉をつけるには毎日欠かさずトレーニングをしなければならないと思っている人も多いですが、必ずしもそうではありません。一般的に、筋力トレーニングを行う理想的な頻度は週に2~3回と言われています。
筋トレで刺激を与えた筋肉は、一時的に組織が破壊されます。破壊された筋組織は栄養と休息を与えることにより徐々に回復しますが、その過程で以前より強い状態になります。このように筋肉の破壊と再生が繰り返されることにより、筋組織が太く、強くなっていくことを「超回復」といいます。
超回復にかかる時間は筋肉の部位によって異なります。目安として胸筋や背筋は72時間、上腕二頭筋や上腕三頭筋、三角筋は48時間、腹筋やふくらはぎの筋肉は24時間程度かかると言われています。もし筋肉が回復する前にトレーニングを再開すると、再び筋肉が破壊されてしまい怪我などに繋がる可能性もあります。筋力をつけるためには、超回復のタイミングを意識して適度に休息を取りながらトレーニングを行うのが大切なのです。
1~3日の休息期間が必要であることを考慮すると、トレーニングの頻度は週に2~3回程度が理想的だと言えます。全身をバランスよく鍛えたい場合や毎日トレーニングしたい人は、日によって筋トレする部位を変えるとよいでしょう。
トレーニングに適した時間帯は?
筋トレは朝と夜のどちらに行うべきかという質問も多いです。これについてはさまざまな研究が行われているものの、いまだにはっきりした答えはありません。朝の筋トレで効果が出やすい人もいれば、夜のトレーニングで最大のパフォーマンスを発揮する人もいます。生活リズムなどによって個人差もあるので、自分にとってベストなタイミングを見つけてトレーニングを行うのがよいでしょう。
空腹時はNG!食後2~3時間がベスト
トレーニングを行う時間帯は人それぞれ好きなタイミングでOKですが、空腹時や満腹時の筋トレは避けましょう。トレーニングの効果を高めるためには、「栄養補給」「筋トレ」「休息」のバランスが大切です。栄養が不足している食前にトレーニングを行うと筋肉が破壊されやすいので、筋トレをしているにも関わらず筋肉の成長を遅らせてしまう可能性があります。
食後であれば筋肉に栄養が吸収されやすく、体内にあるエネルギーを最大限に生かしながら効率よく筋トレを行うことができます。とはいえ、食後すぐの筋トレは逆効果です。血液が消化吸収に使われるタイミングでトレーニングを行うと、消化活動に負担をかける可能性があります。そのため消化が完了する「食後2~3時間」が、筋トレを行うのにベストなタイミングと言えるでしょう。
一回の筋トレにかける時間は?目安は30分~1時間
1回の筋トレにかける時間は、トレーニングの目的や経験によっても異なります。しかし一般的には、30分~1時間程度を目安にトレーニングを行うと効果的だといわれています。
筋トレは1種目3~5セットをインターバルを挟みながら行うのが理想的です。1セットでは筋繊維に損傷を与えるのが難しいからです。1セット1~2分のトレーニングを(1~2分程度のインターバルを挟みながら)3セット行う場合は、1種目のトレーニングを行うのに5~10分かかります。そのため、1回の筋トレで行える種目数は3~10程度です。集中力が切れてしまうとパフォーマンスも低下するので、自分の「集中力が継続する時間」を基準に取り組むのが良いでしょう。
筋トレに「やりすぎ」はある?
筋トレはやった分だけ効果が見えやすいので早く効果を得ようとたくさんトレーニングをしたいと考える人も多いですが、トレーニングのやり過ぎは筋肉にとって逆効果になります。筋肉が回復する時間を確保できずにトレーニング効果が低下するだけでなく、疲労が蓄積して倦怠感や睡眠障害を引き起こしたり、ケガの原因になったりすることもあります。トレーニングは無理をせず自分のペースで続けていきましょう。
筋トレはコツコツ続けることで、少しずつ効果があらわれます。まずは自分の体のリズムに合わせて、無理のない頻度で続けることを意識しましょう。そして効果を実感できるようになると、トレーニングがより楽しくなりますよ。
この記事を監修したのは…
田中和寿さん
サッカー Jリーグ 「横浜マリノス」に30年間在籍。アスリートの育成やトレーニングに携わる。マリノス退団後は、プロゴルファーを中心にツアー帯同やパーソナルサポートをしながら、順天堂大学・小林弘幸教授の自律神経や呼吸に関する研究グループに在籍。視覚刺激における運動機能改善などの研究を行う。鍼灸按摩マッサージ指圧師や柔道整復師、アスリートヨガ、ピラティスインスティテュートなど数々の国家資格や認定資格を保有。現在はタイガージムのトレーニングの監修を行っている。